熊撃退スプレー

「2025年度版」熊被害を防ぐために:登山・ハイキング時の注意点・対策一覧

登山やハイキングは自然の中で歩きながら移り変わる景色を楽しめ、リフレッシュに最適なアクティビティです。コロナをきっかけに密を避けこういったアウトドアの趣味に目覚めた方も多いのではないでしょうか?ハイキング、登山を含む自然の中での遊びは、人の生活圏とは違う理が有ります。自然の中に入るということは自然のルールに従わなければなりません。熊は自然の一部で関わり方を誤れば人を簡単に殺してしまえる存在です。自身が熊被害に遭わないためにはどうすればよいのか、自然の中に行く以上100%安全ということはありませんが、正しい知識を持って対策を行えばリスクを下げることは出来ます。

このページでは昨今熊被害が増えている現状を踏まえ、登山、ハイキングに行く方が熊被害にあわないためにどうすればよいのか説明していきます。

熊被害が増えている

毎年、山菜採りの時期には必ずと言っていいほど熊の人身事故が報道されますが、近年は町中での出没を含めた熊被害のニュースが増加傾向にあります。経済産業省の対策方針によれば、ヒグマは2020年時点で30年前と比較して約2倍、ツキノワグマも増加が推定され、ヒグマの生息域は1.3倍、ツキノワグマの生息域は1.4倍に拡大しているとされています。熊と人間が互いの生活圏に入り込むことで事故は生じるため、特に山菜採りや森林開発によるエサ不足などが遠因となっています。

環境省のまとめを見ると、ツキノワグマによる人身被害は2019年頃から増加し、2023年には過去最高を大きく更新しました。長期的には15年程度のスパンで単純な直線的増減こそ見られませんが、ピーク時の被害規模が拡大傾向にあり、2000年代後半~2010年頃の年間100~150件から直近では200件近くにまで達しています。これは熊の個体数・生息域拡大に伴うリスク上昇に加え、ドングリやブナの不作(気候変動の影響も含む)が熊の里山や市街地への出没増加を招いているのが原因だと専門家は指摘しています。

実際、2023年度(令和5年度)には怪我や死亡者が219人(うち死亡6人)と2006年度以降で最多を記録し、被害件数も198件に上りました。そのうち7割以上が東北地方に集中し、秋田県では62件と突出しています。特に2023年秋には熊の主食であるブナの実りが極端に悪かった地域でエサ不足が顕著になり、冬眠前の熊の出没が急増しました。2024年に入ってからも熊の目撃・出没は高水準が続き、4~9月にかけての全国的な通報件数は前年同期比で約2割増の1万5741件と過去最多を更新しています。4~8月末までの人身被害は56件(死亡2人)で前年同期よりは減少したものの、依然として警戒が必要な状況です。

さらに秋以降は食いだめのため熊の活動が活発化する傾向があり、実際に2023年10月には富山市の住宅街で女性が襲われ死亡するなど、人里でも深刻な被害が発生しています。こうした過去に例を見ない規模の被害増加は2023年から2024年にかけて顕在化しており、2025年においても引き続き注意が必要である事は明白でしょう。
ツキノワグマの被害件数

次にヒグマの人身被害の件数ですが。2021年を境に増えているように見えます。ただし、ヒグマの場合被害件数の母数が少なくデータとしての信頼性が高くないため、断言は出来ません。

次に環境省の取りまとめているツキノワグマの捕獲数を見てみましょう。グラフを見ると2019年を境に大きく伸びています。捕獲数という観点で見ると人間の生活圏に入ってくるツキノワグマが激増している事が分かります。

ツキノワグマ捕獲数

ヒグマのグラフも見てみましょう。ヒグマも2023年の捕獲数が大幅に伸びておりヒグマと人間の生息域が干渉している事実が見えてきます。

熊の個体数増加と生息域の拡大

環境省や農林水産省の推計によればツキノワグマ個体数は過去30年間で2倍以上に増加しており、本州・四国に生息するツキノワグマの推定生息数は2020年度時点で約11,700頭(中央値)と算出されています​。かつて生息数が激減した西日本の一部地域でも生息域が回復しつつあると考えられています。また、分布域も拡大傾向にあります。クマの生息確認エリアは2003年度に日本全土の約39.5%でしたが、2017年度には約54.8%まで拡大しました​。つまり、日本の陸地の半分以上でクマが確認されるようになっており、生息域が山奥から里山や平地近くまで広がってきています。このような個体数・生息域の増加は、人間とクマの接触機会を増やし、結果として被害件数の増加につながっていると考えられます​。

生息域拡大の要因は、山間部の農村で人口が減少し、耕作放棄地が増えたことが主な原因で、原因となる少子高齢化、人口の都市一極集中問題について政府は対策を行っていると発信してはいますが、その効果は全く反映されておらず、日本全体での少子高齢化による人口減少に加え、都市部への一極集中が進んでいることから、地方の人口減少は全国平均よりも速いペースで進むと予想されます。したがって、今後も熊の生息域が広がる可能性が大いに高いと結論付けることができます。

熊被害増加の要因とは?

熊の個体数増加、生息域拡大には自然発生的な要因と、人間の社会的問題が起因しています。これらの問題は簡単に解決できるものではなく、今日の日本が抱える社会的な問題に付随して起こる副次的な問題としての側面も持っています。したがって、物流問題、人手不足といったような問題に加えて熊や獣の被害は今後の社会問題として扱われることになるでしょう。それでは、どのような要因、問題が昨今の熊被害増加に繋がっているのか見てみましょう。

餌不足

森林の実りの凶作・餌不足は熊被害増加の大きな要因です。クマは秋にブナやドングリなど堅果類を主な餌としますが、これらの樹木の結実量は年によって大きく変動します。2023年秋は東北地方を中心にブナの実が凶作となり、山中で十分な食料を確保できなかったクマが人里にまで出没したと考えられています​。米田一彦著『生かして防ぐクマの害』によると、ツキノワグマは通常、オスで約70平方キロメートル、メスで約40平方キロメートルの範囲を行動します。しかし堅果類が不作の年には、通常の3倍から4倍ほど広い範囲を移動するとも報告されています。一方、森の食べ物が豊富な年には行動範囲が狭まり、クマの行動が食べ物に大きく左右されることがわかります。堅果類の不作時にクマの移動範囲が広がる結果、人間との遭遇や、食べ物を求めて田畑を荒らす被害など、集落周辺での目撃例や被害が増えるのです。雌の熊は自身の見知ったエリアから動かない定着性が高く、異常出没で捕獲される熊で多いのは若いオスの熊です。

熊がいつから冬眠するのかも十分な餌が確保できるかどうかに左右され、また熊被害の予測を立てる上でも堅果類の豊作不作の予想が主な指標として利用されています。

このように餌資源の不足はクマがエサを求めて人里に出てくる誘因となり、人との遭遇リスクを高めます。さらに、近年は気候変動による季節サイクルの乱れも指摘されています。専門家は、地球温暖化で果実や木の実の成熟時期が変化し、本来なら山にあるはずの食物が不足することでクマが農作物を襲うケースが増えている可能性を指摘しています​。実際に、クリや柿など里山の果樹を食べに来るクマや、トウモロコシ畑を荒らす被害も各地で報告されています。

猟師の担い手不足

人間側の社会的要因としては、狩猟圧の低下が挙げられます。日本ではハンター(狩猟者)の数が長期的に減少しており、クマを含む野生動物の個体数管理が十分に行われにくくなっています。例えば、発行される狩猟免許の数は1970年代には50万件以上ありましたが、2020年度には約21万8500件と1975年の半数以下に減少しました​。特に銃猟免許保持者は激減しており、2020年時点で猟銃所持者の約60%が60歳以上という高齢化が進んでいます​。狩猟人口の減少と高齢化により、かつては地域で駆除していたクマが十分捕獲されずに生息数が増えたり、人里に出没しても対処が遅れるケースが増えていると考えられます。また、過疎化により山間部でクマを追い払う人手も不足しています。専門家は「里山の最前線でクマを追い返す担い手や技術が不足しており、高齢化に伴い現場対応力が低下している」ことを懸念しています​。その結果、人里近くまでクマが出没しても十分な追い払いがされず、人とクマの距離が縮まっているのです。 さらに、生息環境の変化もクマの行動に影響を与えています。

これは熊単体の話ではなく、獣類全般に言えることですが、狩猟者の高齢化で狩猟圧の大幅な低下が全国で見られます。狩猟者が少なくなると、獣の人への警戒心が低くなり人里に降りてくるようになる個体が出始めます。そうして人の生活圏へと降りてきてしまった個体は害獣としてのレッテルを張られて駆除対象となります。

昨今の熊被害件数の増加の原因はいくつかありますが、熊の個体数自体が増えているというのも原因の一つです。これはヒグマに関して限定ですが、北海道では以前までヒグマの個体数管理を目的として春熊狩りを行っていました。

春熊狩りの利点はいくつかあり

  • 春の冬眠明けの体力がまだ戻っていない熊を狙える事
  • 残雪の上を歩く熊を発見しやすい事、足跡を追いかけやすい事
  • 母熊と子熊の両方を狩れること
  • まだ冬眠中の熊を狙える事

などが有ります。この春熊狩りはヒグマの個体数激減によりレッドリスト入りが見えてきたため1990年に廃止されましたが、個体数の増加、人身事故、経済被害の激増を理由に2022年より再開されています。しかし、今のところ捕獲数で見ると効果を上げているとはいえず、春熊狩りの難しさが浮き彫りになっている状況です。これはハンター人口の高齢化、熊狩りの報酬が低すぎる事が原因で春熊狩りを行うハンターがいないことが原因です。

発行数の図を挿入する

人口減による緩衝地帯の消失

人間の人口減に伴い耕作放棄地や放置森林が増え、かつて人が手入れしていた里山が茂ってクマの隠れ場所となっています。東京農大の山﨑教授は、過疎化や農地放棄で人と野生動物の境界が曖昧になり、クマが町に近づきやすくなった可能性を指摘しています​。また、酪農学園大の佐藤教授は、クマが人里近くで子育てをするケースが増えており、人に慣れた若いクマが増えていると指摘しています​。親子グマが人里近くに現れると、子グマは人間を脅威と認識しないまま成長するため、将来的に人への警戒心が薄い個体が増える恐れがあります​。こうした人とクマの棲み分け環境の緩みも、被害増加の一因といえるでしょう。

以上のように、クマ被害増加の背景には「クマ個体数の増加と生息域拡大」「餌不足などに起因する異常出没」「ハンター減少など人側の管理力低下」「里山環境の変化」といった複数の要因が重なり合っています。これらが複合的に作用し、人とクマの距離が縮まり遭遇・被害が増えているのです。現状では劇的な改善は見込みにくく、少なくとも当面はこの傾向が続く可能性が高いと専門家は見ています​。

北海道のクマ被害傾向

日本に生息するクマは北海道のエゾヒグマ(ヒグマ)と、本州・四国などのツキノワグマの2種類です。それぞれ生態や人との関わり方に違いがあり、地域ごとの被害状況にも特色があります。 北海道(エゾヒグマ)では、ヒグマによる被害が問題となります。ヒグマは体長2メートル近く、体重も300~400kgに達する個体もある大型のクマで、肉食性も強く、人に対して攻撃的になる危険性があります。本州のツキノワグマより行動圏が広く、一度人里に出ると大きな被害につながることがあります。北海道のヒグマ生息数は正確には不明ですが数千頭規模とされ、近年は個体数が増加傾向にあるとの指摘もあります。

ヒグマによる人身被害件数自体は本州より少ないものの、ひとたび事故が起これば重傷や死亡につながりやすいのが特徴です。実際、2023年度は北海道での熊被害は6件でしたが、そのうち2件で死亡事故となっています​。近年の例では、2021年6月に札幌市の住宅街にヒグマが侵入し4人に重軽傷を負わせる事件が発生し、都市部を含め道民に大きな衝撃を与えました​。この個体は最終的に駆除されましたが、人間の生活圏に大型のヒグマが現れるリスクが顕在化したケースでした。

北海道では他にも山菜採り中の遭遇や漁業従事者が沢沿いでヒグマに襲われる事例が散発しています。特に春先(4~6月)は冬眠明けで腹を空かせたヒグマが活発化し、渓流で釣りをする人や山菜・タケノコ採りの人が襲われるケースが報告されています。また秋(9~10月)にはサケ・マスの遡上に合わせて川辺にヒグマが出没しやすく、漁場周辺での遭遇リスクが高まります。北海道の山間部や知床などヒグマ生息密度の高い地域では、登山道やキャンプ場での注意喚起がなされており、「熊出没注意」の看板やヒグマ情報の提供などが行われています。自治体も電気柵の設置補助やゴミ収集の徹底など、人とヒグマの接触リスク低減策を進めています。

東北地方のクマ被害傾向

東北地方(ツキノワグマ)は、日本で最もクマ出没・被害が顕著な地域です。岩手県や秋田県、青森県などは広大な山林を抱えてツキノワグマの生息数が多く、2023年の統計では人身被害の7割以上が東北に集中しました​。特に秋田県は深刻で、2023年度は人的被害62件と全国最多​、2024年も8月までに人的被害9件が発生しています​。東北では秋の遭遇事故が多い傾向があります。これは、ブナやドングリなどの実り具合によって秋に大量出没する「クマ豊年」「クマ凶作」の年があるためです。例えば2023年秋田県ではブナの大凶作により9~10月にクマ出没と被害が急増しました​。被害に遭うのは、山間部の集落に暮らす住民や農作業者が多く、早朝や夕方に畑仕事中に襲われるケースが見られます。また東北はキノコや山菜採りの文化が盛んで、入山者(きのこ採り)の被害も少なくありません。静かに山に入った人がクマに気付かず至近距離で鉢合わせし、驚いたクマに襲われるパターンです。

さらに東北日本海側では、ブナ林が広がる山地が多くクマ密度が高いため、里山の柿の木やクリ、農村部の養蜂箱が狙われる事例もあります。東北各県ではクマ出没情報をリアルタイムで提供するウェブ地図を公開したり、パトロールを強化するなどして住民に注意を促しています。 関東甲信越・中部地方(ツキノワグマ)でも近年は出没が増えています。長野県や新潟県、群馬県、山形県境の山岳地帯などではツキノワグマが広範囲に生息し、散発的に人的被害が起きています。例えば長野県では北アルプスや八ヶ岳など登山者にクマ目撃情報が増えており、登山道での遭遇も起こっています。また群馬県や新潟県の山村部では、農作業中の襲撃事故や畜産農家への被害(家畜が襲われる、鶏舎が荒らされるなど)も報告されています。関東地方では奥多摩(東京都西部)や秩父多摩甲斐国立公園エリア(埼玉・山梨)、那須・日光周辺(栃木)など、山深い地域にツキノワグマが生息しています。

過去には栃木や群馬でツキノワグマによる死亡事故も発生していますが、本州中部以南では東北ほど頻度は高くありません。しかしここ数年、茨城県北部や埼玉県秩父地域などこれまでクマが少なかった地域でも目撃例が増えており、生息域拡大の影響が及んでいます​。関東近郊の山間部では夏から秋にかけてのクマ出没が多く、登山者やキャンパーへの注意喚起が行われています。たとえば群馬県や山梨県では登山口に「クマ鈴(熊よけの鈴)を携行しましょう」といった看板を設置し、山中での備えを呼びかけています。

関東では都市近郊でも里山が隣接する地域があり、そうした場所ではゴルファーやハイカーが住宅地付近でクマを目撃するケースも出ています。幸い大都市圏での人的被害はまだ稀ですが、今後は十分な注意と対策が必要とされかもしれません。

地域別に見ると、北海道のヒグマは出没件数こそ少ないものの、一度人と遭遇すれば被害が重大化しやすい傾向があります。一方、本州のツキノワグマは出没件数自体が多く(特に東北)、結果として被害件数も増えているという図式です。それぞれの地域特性に応じて、ヒグマ対策とツキノワグマ対策を講じる必要があります。また、出没が多い季節は概して春と秋で、春は冬眠明けの空腹な時期、秋は冬眠前の蓄脂期にあたります。遭遇リスクが高い場所としては、山裾の里山・農村地域(果樹や農作物、養蜂箱がある場所)、見通しの悪い山林(笹薮や沢沿い)、朝夕の山道(クマの活動時間帯に重なる)などが挙げられます。渓流釣りや山菜採りなどで人が分け入る場所も注意が必要です。山岳部では標高の低い森林帯にクマが多いため、登山道でも樹林帯では出会う可能性があります。したがって、地域ごとの生息状況と季節・場所のリスクを踏まえた対策が必要となります。

気を付けよう、この時間帯は熊に合う確率高し!

なぜ熊は人を襲うのか?の記事で触れていますがクマに最も遭遇するリスクが高い時期は春から秋にかけてで、10月が最もクマに遭遇するリスクが高く、五月が熊に殺される確率が最も高いです。では熊に最も遭遇する確率が高い時間帯はあるのでしょうか?汎用投稿システム クマ出没マップからのデータを分析、過去に熊に遭遇した時間帯を以下に集計しました。

熊出没時間帯

データを見ると昼過ぎから夕方にかけてが最も遭遇する危険性が高いことがわかります。早朝の時間帯も昼に比べ遭遇リスクが高く、警戒して山野に入ることが推奨されます。しかしながらこのデータは熊の活動時間単体の情報ではなく、人間の活動時間も要素として反映されているため正確なデータとは言い切れないことに注意が必要です。熊の活動時間は人間の活動にも影響され、例えば害獣被害を防ぐため人間が果樹園や養蜂場などで対策を行っている場合、熊は昼間ではなく人が寝静まる夜間に活動を行い食害を与えることが報告されています。

登山・ハイキング前に準備すべきこと

熊被害に合わないためには事前準備が肝要です。このページを見て熊の知識を学んでいるあなたは事前準備の第一歩を踏み出したといえるでしょう。山は人間が暮らす世界ではなく、人は山の中では食われる側の弱い存在であるという事を認識して警戒心を常に持って山に入ってください。それでは熊被害に合わないための事前準備を説明していきます。

ルートや最新情報の確認

山に入る前にクマ出没情報を調べておくことは鉄則です。地元自治体や林野庁、環境省などはウェブサイトで最近のクマ目撃情報を公開しています。たとえば宮城県では目撃情報を地図にプロットした「クマ目撃情報マップ」を随時更新しています​。秋田県でもクマ情報をマップ化してメール配信するシステムが運用されています​。このように各地で情報公開が進んでいるので、目的の山域・季節におけるクマの出没状況を事前に把握してください。

また、登山口や林道入口には注意喚起の掲示板や看板が設置されている場合があります​。「○月○日にこの付近でクマ目撃あり」など具体的な情報が掲示されていることもあるので、登山開始前に必ず確認しましょう。 ルート選択も重要です。過去にクマ出没が頻発しているルートや、クマの生息密度が高いエリアはできれば避けた方が安全です。代替ルートがある場合は多少遠回りでもクマの少ないコースを選ぶ判断も必要になります。地形図を見て、沢沿いのルートより尾根筋のルート、人里から遠い奥地より観光客も訪れるようなメジャーな登山道、といった具合にコース取りを工夫してみましょう。クマは基本的に人の多い場所を嫌がりますので、人がよく歩く道は裏を返せばクマは出にくい傾向があります​。

単独行より複数人での登山が望ましいのも同じ理由です​。パーティ人数を増やせば会話による物音も大きくなりますし、万一クマに出会っても集団の方が襲われにくくなります。 山中ではクマの痕跡を見逃さないことが大切です。歩いていて熊のフン(糞)や足跡、爪痕のある倒木や樹皮がめくれた木などを発見した場合、その周辺にはクマがいる可能性が高いです。新しいクマの足跡や糞を見つけたら、安全策として引き返す判断も考えてください。

環境省マニュアルでも「新しい痕跡を発見した場合は引き返すこと」が推奨されています。新鮮なフンがあるということは数時間~1日以内にクマがそこを通った証拠です。非常に危険度が高いサインですので、その先に進むのは避けた方が賢明でしょう。足跡の場合、5本指の爪痕がくっきり土に残っていたらツキノワグマの可能性大です(イノシシやシカには蹄の跡しか残りません)。そうした痕跡に気付いたら、「今この周辺にクマがいるかもしれない」と意識を切り替え、より慎重に辺りを見渡し音を立てて、場合によっては来た道を戻るようにしましょう。

さらに、入山前の地形と植生の下調べも有用です。例えばドングリの森(ブナ林やコナラ林)やササ薮が広がるエリアはクマのエサ場になりやすいですし、逆にハイマツ帯のような高山帯はエサが少ないためクマはあまり上がってきません。また、夏場にクマザサの笹原が生い茂っている地域では背の低い人間は視界が遮られがちで不意の遭遇リスクが高まります。このように地形・植生からクマ出没のリスクを予測してコースに反映させるのも上級者の知恵です。

最近では地理院地図やヤマレコなどで「この辺りでクマを見た」という報告がチェックできる場合もありますし、地元の猟友会や山小屋に問い合わせれば有益な生情報が得られることもあります。「知らずに入り込まない」ための下調べをしっかり行いましょう。

都道府県別熊出没マップ一覧

各都道府県ではクマ出没情報を住民に迅速に知らせる仕組みを整備しており、県によってはマップとして確認することが可能です。また、熊被害が発生した場合、自治体によるクマ注意報の発令や防災無線での呼びかけも行われているので、熊の出没するエリアに行く場合そういった放送を聞き逃さないようにする事は非常に重要な対策となります。

北海道・東北地方

関東地方

中部地方

近畿地方

中国地方

四国地方

装備チェックリスト

次は装備の確認をしましょう。以下のチェックリストを確認して忘れ物の無いように注意しましょう。

基本装備

  •  登山靴 / トレッキングシューズ
    足首をしっかりホールドでき、滑りにくいもの
  • リュックサック(ザック)
    自分の背中にフィットするサイズで、容量は行程に応じて選択
  • レインウェア(上下)
    防水透湿素材のジャケット・パンツ(天候急変に備える)
  • 防寒着
    フリースやダウンなど、標高が高い山や早朝・夕方の冷え込み対策
  • 帽子 / サングラス
    日差しや雨、風から頭や目を守る
  • 手袋
    防寒+岩場・ロープ場の保護用
  • ヘッドランプ / 予備電池
    万が一の遅れや夜間行動に備えて必須

クマ対策アイテム

  • クマ鈴、ホイッスル
    行動中に音を出してクマへ存在を知らせる。熊は低音は比較的聞き取りにくいですが、高音を聞き取る聴覚は非常に優れているので、高音がよく響く熊鈴は南部鉄を使ったものがおすすめです。
  • 熊撃退スプレー
    最終手段です。これを持っているからといって気持ちが大きくなって軽率な行動を取らないよう注意しましょう。
  • 大きめのビニール袋 / ジップロック
    食べ残し・ゴミをしっかり密閉し、ニオイを漏らさない
  • 食料保存容器
    テント泊や複数日登山の場合、食料のニオイ管理に有効
  • ホイッスル・鈴の取り付け位置のチェック
    リュックやウエストベルトなどに固定し、歩行中もしっかり音が鳴るように

行動に必要なアイテム

  • 行動食 / 非常食・飲み物
    日数や行動時間に応じて十分な量を用意
  • 地図 / コンパス / GPS
    ルート確認・登山計画必須。迷い予防、緊急時の位置確認に
  • スマートフォン / 予備バッテリー
    緊急連絡手段。ただし圏外になる山域もあるため過信は禁物
  • ファーストエイドキット(救急用品)
    絆創膏、消毒液、包帯、テーピング、常備薬など

キャンプやテント泊の場合の装備

  • テント / シュラフ / シュラフマット
    山岳テントは軽量・コンパクトだが、耐久性や防水性の確認を
  • 調理器具(バーナー・ガス・コッヘルなど)
    食事を作る際は、においの管理(ゴミ、食料残渣)を徹底するように!
  • 食料吊り下げ用ロープ
    キャンプ地によっては木に食料を吊るしてクマを遠ざける方法を使う

山でクマを寄せつけない行動・マナー

熊被害にあわないためには山の中で熊を寄せ付けない行動が肝心です。熊が人を襲うのは出会いがしらで驚いて防御的に襲い掛かってくるものが多く、襲われないようにするには熊に先に気付いてもらって近づかないでもらうことが最も確実です。熊も人間に出会いたいとは思っていないので、自分の存在を熊に知らせて双方干渉しないよう心掛けましょう。

音を出しながら行動

クマは基本的に人間を避ける習性があるため、こちらの存在に気付かせて近づかせないことが重要です​。登山や山歩きの際には熊鈴(クマよけ鈴)や携帯ラジオなど音の出る道具を身につけ、人間の居場所を知らせるようにしましょう​。熊が人をのは熊が人間に急に遭遇して驚いて襲い掛かってくるケースが大半なので、音で人の存在を伝え不意の遭遇を未然に防ぐ事が熊被害にあわないためには効果的です​。実際、山中に設置された自動カメラには鈴の音に反応して立ち去るクマの姿も捉えられており、熊鈴は不要な遭遇を避ける有効な装備とされています​。ただし過信は禁物で、鈴やラジオがあっても絶対安全とは言えないため常に周囲に注意を払いましょう。

熊鈴には大きさや形状によって音量や音色の異なる種類があります。一般的に大きめで高音量の鈴ほど遠くまで音が届くため、ある程度しっかりした音量のものを選ぶと効果的です​。熊鈴はザックの後方ではなく体の前側につけると音が前方に響きやすく、クマに気付かれやすくなります​。移動中は常にチリンチリンと鳴らすだけでなく、見通しの悪いカーブに差し掛かる前などには意識的に鈴を手で振って大きな音を出すと効果的です。

また一人で静かに行動しているときは音が立ちにくいので、意識的に声を出したり手を叩いたりして音を発生させます​。熊鈴やラジオを持っていない場合でも、複数人で会話したり歌ったりするだけでもクマへの警戒音になります​。

こういう状況では注意すべし!

環境によっては鈴の音が届きにくい状況もあります。例えば沢沿いでは水音で鈴やラジオの音がかき消されてしまうことがあるため注意が必要です。雨や強風時も同様に音が遠くまで届かない可能性があります。そのような環境では、より頻繁に大きめの音を出す工夫をしましょう。過去の熊との人身被害事故の傾向において、先を見通せない場所、沢や小川など水の音がする場所、雨や休風が吹いており環境音が強い時が危険とされており、とにかく熊に聞こえているかどうかは常に考えておく必要があります。

ホイッスル(笛)を携行しておき、適宜吹いて音を響かせるのも有効です​。一方、山菜採りなどで立ち止まっている時は鈴が鳴らないため、その場に留まるときほど意識的に音を出すようにしてください。いずれにせよ、「自分の存在をクマに知らせて先に気付いてもらう」ことが遭遇回避の基本です。音による対策をしながらも油断せず、周囲の気配や物音にも耳を澄ませながら行動しましょう。

ゴミの徹底管理

第一に、食べ物の匂いでクマを引き寄せないことが肝心です​。クマの嗅覚は非常に鋭く、数キロメートル離れた匂いも嗅ぎつけるとも言われます​。そのため、キャンプや山小屋での食料・ゴミ管理は徹底しましょう。調理後の食器をそのまま放置したり、食べ残しや生ゴミの入った袋をテント近くに置いておくと、匂いに誘われてクマがやって来るリスクが高まります​。実際に、人里に現れるクマの多くは人間の食べ物の味を覚えた個体であり、一度でも食料を与えてしまう(結果的にゴミを漁られるなども含む)と繰り返し人間のエリアに現れるようになります​。そうなるとクマ自身も危険な個体となってしまうため、食料や生ゴミは決してクマの口に入らないよう管理する責任があります​。「あなたの行動で熊が人を襲うようになる」これは肝に銘じておいてください。

熊対策用の頑丈なフードコンテナ(ベアキャニスター)は、クマに中身を取られないように設計された密閉容器です​。キャンプでは食料やゴミ、歯磨き粉や石鹸など匂いの出るものは全てこのような容器に入れて管理します​。容器はテントから離れた場所に置き、夜間は蓋をしっかり閉めておきます​。ハードタイプのベアキャニスターはクマには開けられず、踏んだり噛んだりしても壊れない構造になっているため非常に有効です​。市販のものを持っていない場合でも、蓋付きの密閉容器やジップロックを重ねるなどして匂い漏れを抑えましょう。

また、可能であれば木の高所につるす方法も伝統的に用いられています。食料や生ゴミ、調理器具など匂いの付いたものはビニール袋に二重に密閉し、キャンプ地から少し離れた木の枝に吊り下げて保管します​。吊るす高さは地上約4メートル以上、幹から2メートル以上離れた位置が目安です​。クマは木登りも得意ですが、枝からぶら下がった袋には直接手が届かないようにすることで被害を防げます​。

テント泊では就寝エリアと調理・食事エリアを分ける工夫も大切です。テント内やすぐ近くで食事をすると匂いが寝具に染み付き、夜間にクマを誘引する原因となります​。実際、テントの中に食料や匂いの強い衣類を持ち込まないだけでも安全性が向上します​。食事はテントから離れた場所で行い、使い終わった調理器具や食器はすぐに拭き取り、可能なら水で洗って匂いを落としてください。残飯や生ゴミは埋めたりせず必ず全て持ち帰ります。ゴミは匂いが漏れない袋に入れて口を縛り、これもテントから離れた場所に保管しましょう​。下山時にもゴミ袋は密閉し、ザックの中でもさらにビニール袋で包むなどして匂いを拡散させないことが肝要です​。

なお、車で移動している場合は一時的にクーラーボックスや車内に保管する手もありますが、車中も完全に安全とは言えません。クマはドアを開けられなくても窓ガラスを割ることもあるため、車に置く場合も匂いが外に漏れない工夫をしてください。 このように各自が食料とゴミの管理を徹底しないと、自分だけでなく周囲の人にも危険を及ぼす可能性があります​。クマに人間の食べ物を味わわせないことが、人とクマ双方の安全につながります。「食べ物の管理=クマ対策」と心得て、山では常に「匂い」に注意を払いましょう。

クマと遭遇した際の行動マニュアルと対策

クマの生息地に足を踏み入れる機会がある人や、クマ出没エリアに住む人にとって、熊と遭遇したらどうするか、適切な行動を知っておくことは極めて重要です。環境省や専門家は以下のような行動指針を示しています。

遭遇時の基本対応

それでも万一クマに出会ってしまったら、まず慌てないことが肝心です。クマと遭遇した場面では距離や状況に応じて適切な対応が異なりますが、共通するポイントは「こちらから攻撃的な行動をしない」「走って逃げない」ことです。クマにこちらの存在が認識されていない距離(遠くにクマの姿を見たが向こうは気づいていないような場合)では、静かにその場を離れます​。

背中を見せず、ゆっくりと後ずさりしながら距離を取りましょう。物音を立ててもクマがこちらに気づかないようであれば、わざと人間の存在に気づかせるために軽く音を立てることも有効です​。クマはこちらに気づけば逃げ去る場合が多いので、クマとの間合いが十分にあるならば速やかにその場から立ち去ってください。

問題は近距離で鉢合わせしてしまった場合です。クマがこちらに気づいている場合、絶対に背を向けて走って逃げてはいけません。​クマには本能的に逃げる対象を追いかける習性があり、人が背中を見せて走ると獲物だと見なして追跡・攻撃してくる恐れがあります​。実際にクマ被害事例でも、背を向けて逃げた途端に追いつかれて襲われたケースが報告されています。したがって、クマと向き合ったら視線を逸らさず、ゆっくりと後退しましょう​。大声で叫んだり石を投げたりするとクマを刺激しかねないため厳禁です。ただし、クマとの距離が極端に近く、こちらに向かってくる場合は、大声や威嚇音を出して撃退を試みる最終手段もあります(特にヒグマの場合は大声や威嚇行動で撃退できる可能性も指摘されています​。しかし一般には、ゆっくり静かに距離をとって退くのが基本対応です​。

クマが立ち止まってこちらを見ている場合、静かにこちらも退きつつ状況を探ります。クマによっては威嚇目的の突進(ブラフチャージ)をしてくることがあります​。それは一時的にこちらに向かって猛スピードで突進してきても途中で止まり引き返す行動です​。この場合、クマは本気で攻撃するつもりではなく脅して追い払おうとしているので、こちらが落ち着いて距離を取ればクマが立ち去ることも多いとされています​。難しいとは思いますが、熊に威嚇されても驚いてパニックにならず、ゆっくり後退を続けてください。2人以上いる場合は固まって行動し、決して散り散りにならないようにします。一人でも逃げ出すとクマが追いかける誘因になるため、全員で足並みを揃えて退却することが重要です。山に入る前にイメージトレーニング、熊に出会ったらどうするかを話し合い、事前に段取りを共有しておくと心理的に落ち着いて行動がとりやすくなるので、準備を怠らないようにしましょう。

万が一攻撃された場合の対処

不運にもクマが実際に襲いかかってきた場合、人間が素手で撃退するのは極めて困難です。ツキノワグマの場合、襲撃は防衛的なことが多く一度攻撃した後すぐ逃げ去る場合が多いとされます。したがって、被害を最小限に抑えることが命を守る上で重要になります。具体的には、急所である頭部や顔面を両腕で覆い、防御姿勢を取ることです​。できれば地面に伏せてうつ伏せになり、首後ろを守りましょう​。いわゆる「死んだふり」に近い姿勢ですが、これはクマに反撃の意思がないことを示し、かつ頭部への致命傷を避けるための最終手段です​。クマは攻撃対象が動かなくなると興味を失って立ち去ることがあります。実際、顔や頭を負傷しながらもうつ伏せになって助かった事例も報告されています。

ただし相手がヒグマの場合、稀に捕食目的で襲うケースも考えられるため一概には言えません。状況次第では持っているもの(杖やナタ)で必死に反撃するしかない場合もあります。しかし基本は身を丸めて防御に徹し、生存優先と覚えておきましょう。クマに組み敷かれた際は目や鼻先を狙って攻撃すると放してくれる可能性があるとの経験談もありますが、咄嗟の状況では難しいことも多いです。何より攻撃される前に回避行動を取ることが大切です。完璧な対処法は存在しませんが、自分の身を守るための最善策を瞬時に取れるよう、日頃からシミュレーションしておくことが重要です。なぜ熊は人を襲うのかで熊が人を襲う時の特定パターンを分析しているので、興味がある方はご覧になってみて下さい。

熊撃退スプレーの活用

近年、日本でも熊撃退スプレー(クマスプレー)の携帯が推奨されるようになってきました。熊撃退スプレーは唐辛子成分のカプサイシンを高圧噴射するもので、クマの目や鼻に命中させることで一時的に退散させる効果があります​。北米ではハイカーの必需品となっており、多くの襲撃回避実績があります。環境省も「クマに遭遇した際に熊撃退スプレーを使用すれば攻撃を回避できる可能性が高くなる」とその有効性を認めています​。

有効射程は製品にもよりますが(熊スプレー比較を参照)5~8メートル程度で、噴射時間も数秒程度と短いので、使うタイミングが肝心です。クマとの距離が十分近く、確実に顔に噴射できる状況で使用します。向かってくるクマの真正面に風上から噴射できれば、クマが怯んで逃げ去る可能性が高まります。ただし携行していても、出し遅れたり風向きによっては効果が出ないこともあります。普段からすぐ使える位置に装着し、緊急時に慌てず使用できるよう訓練しておくことが重要です​。実際に噴射する訓練用スプレーも市販されています。登山やキャンプでクマ生息地に入る際は、熊撃退スプレーを携行することを強く検討してください。使う機会がないのが一番ですが、「転ばぬ先の杖」として備えておくと安心感が違います。

その他クマに出会わないことがクマ対策で最も重要なことなので、熊撃退スプレー以外に熊対策グッズの携帯を検討してください。

その他の注意点

親子連れのクマに遭遇した場合は特に注意が必要です。母グマは子グマを守ろうとして非常に攻撃的になることがあります。子グマだけを見つけた場合も近くに母グマがいる可能性が高いので、絶対に近寄らず速やかにその場を離れましょう​。また、ヒグマとツキノワグマでは対処法のセオリーが若干異なる場合があります。ヒグマの場合、突進してきたら大声や威嚇行動で撃退できる可能性があるという報告もあります​(ヒグマは縄張り意識が強く相手を排除しようとするため)。一方ツキノワグマは防衛的であるため、大声で刺激するより静かに退く方が無難とも言われます。ただ、現場でそれを判断するのは難しいため、基本はどちらのクマでも刺激を避け、ゆっくり後退という行動をとってください。

車で山道を走行中にクマと遭遇した場合は、クラクションを鳴らさず静かにやり過ごすか、必要なら徐行してクマに道を譲るようにします。人家付近でクマを見かけた場合は、すぐに家屋や車内に退避し、自治体や警察に通報してください。クマは木登りも泳ぎも上手ですので、木の上や水の中でも油断は禁物です。

以上がクマ遭遇時の基本マニュアルとなります。ポイントは一貫して「驚かせない・刺激しない」「冷静に対処」です。事前準備と正しい知識があれば、万一遭遇しても落ち着いて適切な行動をとることができます。環境省もパンフレット「クマに注意!」を配布し、熊鈴の携行や走って逃げない等の基本を周知しています​。登山やアウトドアを楽しむ方はぜひ身につけておきましょう。

まとめ

登山やハイキングは、自然の豊かさを肌で感じながら美しい景色を楽しめる素晴らしいアクティビティです。一方で、人里とは異なる「自然のルール」があり、ときにクマのような危険な野生動物と遭遇するリスクも伴います。

しかしながら、正しい知識と適切な対策を身につけておけば、クマに遭遇するリスクを大幅に減らし、安全に山を楽しむことは十分可能です。山に入り、自然の恩恵を受けながら遊ばせてもらう以上、私たち一人ひとりがクマをはじめとする野生動物に配慮した行動をとり、野生動物が「人間=危険」「人間の場所にはエサがない」と認識するよう努めることが重要です。

  • 「音を出す」「視界の悪い場所で注意する」などの基本的な行動でクマとの“出会いがしら”を防ぐ
  • ゴミや調理臭などのニオイ管理を徹底して、「人間の場所=食べ物がある場所」とクマに覚えさせない
  • 里山や山中の痕跡(足跡・糞・爪痕など)を見逃さず、クマが近くにいる可能性があれば早めに引き返す勇気を持つ
  • 複数人で行動する、熊撃退スプレーを携行するなど、万が一への備えを怠らない

このように基本的なルールとマナーを守れば、クマに遭遇する確率は下がり、万一の遭遇時も落ち着いて行動できるはずです。自然は人間にとって貴重な癒やしと学びの場であり、クマもまたその生態系を支える大切な存在です。お互いを無闇に傷つけ合うのではなく、正しく理解し、適切な距離を保つことで、共存しながらアウトドアを楽しむことを目指しましょう。

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